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油分と濾過と旨味と寿福。


皆さま、ブログでは大変ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか。

久しぶりの今回は、寿福の焼酎に大切な「油分」と「濾過」についてちょっとだけ詳しくお話させていただきます。楽しんでいただければ幸いです。







常圧蒸留と油分




寿福酒造では創業以来、常圧蒸留一筋で焼酎を作り続けています。常圧蒸留とは簡単に言うと、醪[もろみ:原料が発酵した状態のもの。焼酎の元]を高温で蒸留する一番原始的な蒸留方法です。


高温で蒸留すると原料そのものの風味や香りの成分がしっかりと残ります。これが雑味や旨みとなり、どっしりと飲みごたえのあるボディ感に仕上がる、常圧蒸留の大きなポイントはここにあります。


いも、麦や米など原料によって出てくる成分の内容は変わってきますが、現杜氏の良太が一番重きを置いているのは「油分」です。




↑濾過中に浮いてくる油です。



常圧のお酒、特に麦や米はかなりの油分が焼酎の中に含まれています。焼酎造りにおいて出てくる油分は「高級脂肪酸」と呼ばれ、この脂肪酸のエチルエステル類が多く含まれる焼酎の方が”味”や”個性”のあるものに。とはいってもやはり脂肪(油)成分でもあるので酸化しやすく傷みやすいという厄介な点も。


そんな複雑な存在ですが、寿福ではこの油分を基本的に「旨み」と捉えています。 というのも、この油分が焼酎に丸味、甘み、濃味を与えてくれる大事な成分だから。




大事なのはバランス!




旨味成分といえど、油分が多すぎるとベタっとした美味しくない料理のようになるわけです。


だから味のバランスを取るために「濾過」を行うのです。







濾過をするということ




濾過の方法はたくさんありますが、寿福では濾過機を使っています。

紙のフィルターに珪藻土やセルロースなどの濾過剤を溶かして貼り付けて、そこに焼酎を通して余分な油分を取り除きます。


原酒を冷却して→固まった油を濾過機で引っかけて綺麗に、これが濾過作業です。


注意しないといけないのは、油分を取り除きすぎると味や香りも痩せてしまい、旨みも感じない痩せた焼酎になってしまうこと。



ということで、寿福の濾過は基本的に最低限!



表面に浮いてくる油分=酸化してよくない香りを出す部分、これだけを取り除き、焼酎の中に溶け込んでいる油分はまさに!旨味成分のためそのまま残します。




↑麦のろ過中。油がすごい。こうやってティスティングしながら調整してます。(もちろん飲んではいないです)



ちなみに作業中は、濾過してるタンクに張り付いてずっと味見。

そして、ここだ!っていうタイミングで切り上げ貯蔵タンクに移動させるのです。


この微妙な調整が肝。寿福の目指す焼酎を作り上げるための最後の大事な工程です。







目指すべき味に向けて




濾過の目的は、余分な油分を取り除く。そして、濾過により味を安定させる、これです。


バランスよく濾過してやれば、旨み、香味、喉ごしにキレなど「旨い」焼酎になる要素が沢山が出てきます。




↑濾過した油分はこんな感じ。かなりの量でしょう。




蒸留したて=濾過前の出来立てほやほやの米の武者返し、麦の寿福絹子はもちろん美味いです。


油もたっぷり、まだ酒質も若いけど濃厚な旨みでピリピリせずにとろりと喉を通っていきます。



がしかし!!!



やっぱり寿福の焼酎たちは濾過あっての味わいです。



寿福の焼酎が出来るまで大切な工程はたくさんありますが、寿福酒造のテーマ「毎日飲める、優しみの味わい」にはこの「濾過」も大きな役割を担っています。



今日お伝えしたいことは、そんなことでした。

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