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常圧の焼酎と旨い呑み方の話。

  • 6 日前
  • 読了時間: 6分





またまたご無沙汰してしまいました。みなさま、おかわりなくお過ごしでしょうか。

日々、焼酎を呑んでいらっしゃいますか。


今回は常圧で造る焼酎在り方と、その旨い呑み方のお話を少しだけ。


というのも、寿福のお酒を愛してくださる居酒屋さんのひとつ、熊本市内にある「カミナリ酒場」に、焼酎初心者のお客様をお連れしたときに店主の矢部雷太[やべらいた]さんとそんな話になりまして。 私たちの中で留めておくにはもったいないくらい興味深いお話だったので、ここはぜひ、みなさまと共有したいと思った次第でございます。







「武者返し」はお湯割りで


やべさんが丁寧に作ってくれた「武者返し」のお湯割り(むちゃ旨し…!)を呑みながら、お話を聞かせてもらいました。



-やべさん

「武者返し」を呑むにはやはりお湯割りがダントツに旨いです。

なんでかというと、常圧蒸留で造られていて、かつ油が残っているから。


小さい蔵はね、美味しく造った味を残したい残したい…という想いから、濾過を弱くするんですよ。逆に大手は品質を統一したいから、濾過を強くして油を取ってしまいます。油にこそ旨味が凝縮されているから本当はもったいない。だけど、大手はもう油を残した焼酎を造らないんです。




*やべさんは、今の居酒屋を開く前は、蔵元で焼酎造りに長年従事。「造り手」と「売り手」両方から焼酎に精通しておられます。




-やべさん

(一升瓶を見せながら)ほら、油の線が見えるものもあるでしょう。油は水やアルコールよりも軽いから、一番上に浮いてくる。だから、油がしっかり残っている焼酎は瓶に線が残るんです。




油を線がくっきりと移っている瓶
油を線がくっきりと移っている瓶



ただし、油自体が「旨み」であることには間違いないけれど、この浮いた油を放っておくと酸化して茶色く変色して美味しくなくなってしまいます。だから僕はしっかり瓶を振って、油がたまらないようにしています。


ちなみに、透明の瓶に入った焼酎がありますよね。これは、蔵からの「早く飲んでくださいね」というメッセージなんですよ。透明だと、紫外線を浴びやすい=劣化がしやすいってこと。だから新酒のように、このお酒は早く呑んで欲しいときにあえて透明な瓶を選びます。








「油」の呑み方




焼酎の呑み方はさまざま、お好みもそれぞれ。でも、焼酎を知り尽くしているやべさんはこう語ります。




-やべさん

小さな蔵は油を残す、とお話しました。そこで、その油を冷やして飲むか、温めて飲むかを想像すれば、なぜ僕がお湯割りを勧めるかをわかってもらえると思います。


油が多く残っていればいるほど、ふわりと香りが立つからお湯割りが合います。


僕は、油が残っている焼酎の炭酸割りはベストだとは思わない。逆に、大手メーカーが手掛ける、油を残さない減圧の焼酎は、炭酸で割って美味しいものも多いと思います。


だからといって、油を残した常圧の焼酎を炭酸で割るのが美味しくないと言ってるわけじゃないんです。たとえば「寿福絹子」の炭酸割りも、「武者返し」の炭酸割りも旨いけど、一番美味しく呑めるのがお湯割りだっていうことです。


もちろん呑む人のお好みでいいけど、僕はひとつひとつの焼酎を飲み比べて、どうやって呑むのが一番魅力を引き出せるか考えます。お客さんには「この呑み方がいいですよ」とお勧めすることもあります。




(な、なるほど…!!!)




-やべさん

「武者返し」は温めた時に、香りがガツンっと出る。

面白いのは、「武者返し」はお湯割りにすると品質が変わるんですよ。

僕が一番不思議に思うのは、バニラみたいな香りがするところ。香ばしさの中に、甘みのある香り。他の米焼酎もいろんな種類をだいぶ呑みましたけど、あれはね、「武者返し」だけなんですよね。




カミナリ酒場でいただく「武者返し」のお湯割り。
カミナリ酒場でいただく「武者返し」のお湯割り。







奥深きお湯割り




-やべさん

ただ、簡単そうでお湯割りっていうのは意外と難しい。お湯もただ熱くしたものを注げばいいってわけじゃないんです。一番旨く呑む濃さと温度があります。


ロックは作り方によって味はほとんど変わらないけれど、お湯割りは変わる。実際、「武者返し」のお湯割りをご自宅で造ってみても、絶対僕が作るお湯割りにはならないと思いますよ。




そこで今回は直々に、旨いお湯割りの秘訣を教えていただきました。




-やべさん

ポットのお湯は沸騰したやつをそのまま入れるから、だいたい90~95度。これをそのまま焼酎に注ぐのは絶対ダメです。


僕の店では「武者返し」を5:5で事前に前割り*しておきます。




*「前割り」とは、焼酎をあらかじめ水で割り、休ませるという焼酎の呑み方のひとつ。実はこれ、単に”薄めた焼酎”ではなく、時間を置くことで味がなじみ焼酎そのものの品質が変化するんです。これもまた深いテーマなので、後日あらためて。




-やべさん

前割りした「武者返し」を、日本酒を燗つけすように温める。出すときの温度は55度。お客様のところにお出しして、飲み始めるころには50~53度になっています。

熱くて持てないくらい温めてはダメです。せっかくの香りが飛んでしまうから。




自宅でやるには少しハードルが高いプロのお湯割り!だからこそ、「武者返し」の味の可能性を最大限に引き出してくれているんですね。それはそれは旨いはずです。

寿福では「燗ロック」を推していますが、他にも自宅でできる良い呑み方がないか聞いてみました。




-やべさん

良い焼酎っていうのは、誰でもわかるくらい変化するんです。


たとえば「武者返し」をロックで呑むとするじゃないですか。そこにお湯をほんの2、3滴、氷の上から垂らしてあげる。2、3滴だから温度はほとんど変わらないし、冷たいままなんですけど、香りが全然違うんですよ。


まあ、どの酒でも瓶に詰められたものは「すぐに飲めますよ」という状態ではあるけど、完成形ではないのかもしれない。


ワインだって、デキャンタを使ったり、どのグラスにどう注ぐかによって味はガラリと変わります。ビールも同じ。缶酎ハイくらいかな、変わらないのは。


その酒をどう呑むかによって、味が完成するんじゃないかと思うんです。


だからこそ、ワインにはソムリエがいたり、日本酒には燗付け師がいたりする。もちろん焼酎も同じで、僕らのような店がその役割を果たすことで、さらに旨くなる。


そういう面白さを、もっと伝えていきたいですよね。







こんなに愛と熱量を持って私たちの焼酎を扱ってくれるやべさんには、本当に感謝です。これからも、何卒よろしくお願いいたします。

やべさんのカミナリ酒場、は次号「寿福のカワラバン。vol.2 」にも登場予定です。乞うご期待!




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焼酎居酒屋 カミナリ酒場




-営業時間

月曜〜土曜:18:00〜23:00


-定休日

日曜日、祝日


-アクセス

熊本電鉄 藤崎宮前駅から徒歩2分

熊本市電 通町筋駅から徒歩10分



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